「マリア様がみてる」 を久しぶりに読み返した
- 2017/10/15
- 22:04
「マリア様がみてる」。
集英社、コバルト文庫で刊行されていた「私立リリアン女学園高等部」を主な舞台とした青春学園小説。
Twitterのフォロワー様が本作を読まれていた事に触発され、
「北宇治吹奏楽部、波乱の第二楽章 後編」で受けた傷を癒すべく(笑)
十年前、大好きだった作品を久しぶりに読みました。
・
・
・
相変わらず面白い。
昔の恋人が今も変わらず魅力的だったような感じ(笑)とでも言いましょうか。
久しぶりに読んだ本作をとても楽しく読む事ができました。
以下、本作を再読し、第1巻以降のネタバレは特にしない方向で、
気になった事を記載したいと思います。
マリア様がみてる 文庫 1-38巻セット (コバルト文庫)

① 福沢祐巳の視点
小説「マリア様がみてる」の特徴は”三人称単視点”である事です。
三人称でありながら、視点となっている登場人物を通して文章が紡がれています。
最近の作品ではまさに「響け!ユーフォニアム」が同様の形式です。
「マリア様がみてる」はシリーズが進むにつれ、この視点の主が次々と変わっていくのですが、
第1巻は一環として、福沢祐巳の視点で描かれています。
そのため、祐巳の見ていない事や、知らない出来事の描写はありません。
これが面白い部分で、
劇中の出来事や人物についての情報は、祐巳の目を通してしか描かれないのです。
後の作品で重要なキャラクターとなる島津由乃や藤堂志摩子、あるいは柏木優。
彼らが1巻で何を思って行動していたのか、読者は知る術がありません。
それにしても、主人公の福沢祐巳。
本人は平凡を気取っていますが、ツッコミはキレキレだし、とてつもなく面白い奴です。
超お嬢様学園コメディ
本作を版元のコバルト文庫は上記のように称していますが、
非常にポップで、ユーモラスで、それでいて繊細な作品です。
② 小笠原祥子と柏木優
「祥子さま」と「柏木さん」
本作のヒロインと敵役に該当する二人ですが、
「柏木さん」が言うように、この二人は実によく似ています。
(続巻を読んでいる人には言うまでもない事ですが)
彼らは共に、デリカシーのない行動で他者を傷つけているのです。
祥子さまは偶然出会った祐巳を「たまたま」妹にしようとした事で、祐巳のプライドを傷つけます。
祐巳が祥子さまが大好きなのと、祥子さまにとっても運命的に相性の良い存在だったため、
本巻においてはうやむやになっていますが、
祥子さまは自らの行動が祐巳の自尊心を傷つけた事に気づいていません。
一方、柏木さんも、祥子さまのリリアン高等部入学時にデリカシーのない発言で彼女を傷つけています。
柏木さんに好意を抱いていたからこそ、そのダメージは尋常ではなく、
祥子さまにとって男という存在に大きな不信感を抱かせるほどでした。
柏木さんは祥子さまからの好意に対して無自覚で、彼女が受けたダメージを見誤りました。
ヒロインと敵役が実はどちらも同じ事をしている図式。
本作を改めて読んで、気づいた点ですが、上手いなと思いました。
同じような事をしている二人であるのにも関わらず、
劇中の視点の主である祐巳は祥子さまに対して贔屓があるから、
祥子さまに対しては基本的に好意的な描写ですが、
柏木さんは祥子さまの敵という認識のため、かなり辛辣な事を考えたりしています。
第三者的に見れば、同様の事をしている二人への真逆の描写は、
①で上述した祐巳の視点であればこそです。
③ おわりに
私がこのシリーズで好きなキャラクターを3人挙げると、
「二条乃梨子、柏木優、松平瞳子」なのですが、3人中2人は姿形もありません(笑)。
にも関わらず、久々に読んだ本作はとてつもなく面白かった。
昔好きだった作品が今でも変わらず面白いという事は、
本当にとてつもなく幸せな事だと思いました。
・
・
・
それにしてもこの巻の白薔薇さまの例の発言のせいで、
柏木さんの心情については、本シリーズにおいて、ミステリのようになったよなと思います(笑)
集英社、コバルト文庫で刊行されていた「私立リリアン女学園高等部」を主な舞台とした青春学園小説。
Twitterのフォロワー様が本作を読まれていた事に触発され、
「北宇治吹奏楽部、波乱の第二楽章 後編」で受けた傷を癒すべく(笑)
十年前、大好きだった作品を久しぶりに読みました。
・
・
・
相変わらず面白い。
昔の恋人が今も変わらず魅力的だったような感じ(笑)とでも言いましょうか。
久しぶりに読んだ本作をとても楽しく読む事ができました。
以下、本作を再読し、第1巻以降のネタバレは特にしない方向で、
気になった事を記載したいと思います。
マリア様がみてる 文庫 1-38巻セット (コバルト文庫)

① 福沢祐巳の視点
小説「マリア様がみてる」の特徴は”三人称単視点”である事です。
三人称でありながら、視点となっている登場人物を通して文章が紡がれています。
最近の作品ではまさに「響け!ユーフォニアム」が同様の形式です。
「マリア様がみてる」はシリーズが進むにつれ、この視点の主が次々と変わっていくのですが、
第1巻は一環として、福沢祐巳の視点で描かれています。
そのため、祐巳の見ていない事や、知らない出来事の描写はありません。
これが面白い部分で、
劇中の出来事や人物についての情報は、祐巳の目を通してしか描かれないのです。
後の作品で重要なキャラクターとなる島津由乃や藤堂志摩子、あるいは柏木優。
彼らが1巻で何を思って行動していたのか、読者は知る術がありません。
それにしても、主人公の福沢祐巳。
本人は平凡を気取っていますが、ツッコミはキレキレだし、とてつもなく面白い奴です。
超お嬢様学園コメディ
本作を版元のコバルト文庫は上記のように称していますが、
非常にポップで、ユーモラスで、それでいて繊細な作品です。
② 小笠原祥子と柏木優
「祥子さま」と「柏木さん」
本作のヒロインと敵役に該当する二人ですが、
「柏木さん」が言うように、この二人は実によく似ています。
(続巻を読んでいる人には言うまでもない事ですが)
彼らは共に、デリカシーのない行動で他者を傷つけているのです。
祥子さまは偶然出会った祐巳を「たまたま」妹にしようとした事で、祐巳のプライドを傷つけます。
祐巳が祥子さまが大好きなのと、祥子さまにとっても運命的に相性の良い存在だったため、
本巻においてはうやむやになっていますが、
祥子さまは自らの行動が祐巳の自尊心を傷つけた事に気づいていません。
一方、柏木さんも、祥子さまのリリアン高等部入学時にデリカシーのない発言で彼女を傷つけています。
柏木さんに好意を抱いていたからこそ、そのダメージは尋常ではなく、
祥子さまにとって男という存在に大きな不信感を抱かせるほどでした。
柏木さんは祥子さまからの好意に対して無自覚で、彼女が受けたダメージを見誤りました。
ヒロインと敵役が実はどちらも同じ事をしている図式。
本作を改めて読んで、気づいた点ですが、上手いなと思いました。
同じような事をしている二人であるのにも関わらず、
劇中の視点の主である祐巳は祥子さまに対して贔屓があるから、
祥子さまに対しては基本的に好意的な描写ですが、
柏木さんは祥子さまの敵という認識のため、かなり辛辣な事を考えたりしています。
第三者的に見れば、同様の事をしている二人への真逆の描写は、
①で上述した祐巳の視点であればこそです。
③ おわりに
私がこのシリーズで好きなキャラクターを3人挙げると、
「二条乃梨子、柏木優、松平瞳子」なのですが、3人中2人は姿形もありません(笑)。
にも関わらず、久々に読んだ本作はとてつもなく面白かった。
昔好きだった作品が今でも変わらず面白いという事は、
本当にとてつもなく幸せな事だと思いました。
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それにしてもこの巻の白薔薇さまの例の発言のせいで、
柏木さんの心情については、本シリーズにおいて、ミステリのようになったよなと思います(笑)
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- テーマ:ライトノベル
- ジャンル:小説・文学
- カテゴリ:マリア様がみてる
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